公正証書の作り方

 

公正証書はあなたの権利を強力に守ってくれます。

 

最も多いのは、養育費に関する相談です。

 厚生労働省の資料によれば、離婚に際し養育費の取り決めをした割合は37.7%(資料p2)現実に養育費を受給している割合は19.7%となっています(資料p7)

 実に62%あまりの人は、離婚に際し養育費を決めておらず、かつ、養育費の取り決めをしても、実際に給付を受けている人は、そのまた半分という結果が出ています。

 養育費の取り決めをしない人が半分以上ということにも驚かされますが、それにもまして養育費の支払いを約束してもその半数の人は約束を守らないということに驚きです。

 養育費は、子の養育に必要な費用であり、子の権利ですから親権者・監護権者はその権利を子に変わって死守しなければなりません。その為には、離婚時には養育費の取り決めをしなければなりません。養育費の取り決めをせずに離婚するなど論外です。しかし、養育費支払いの約束を取り付けたから安心というわけにはいきません。厚生労働省の資料が示すように、養育費支払いの約束を半数の者が守らないという現実があるのですから、約束どおりの支払がされない場合の対策をとっておかなければなりません。

 そこで強力な味方になってくれるのが公正証書です。

 なぜ公正証書が養育費を受ける側の強力な味方かと言えば、それは、公正証書があれば相手方が約束どおり養育費の支払いをしないときには、相手方の給料や預金などを差押えできるからです。また、相手方からすれば、支払を遅滞すれば直ちに給料等の差押えを受ける可能性があるのですから、安易に支払遅滞できません。裁判所から差押え命令書が勤務先に届いたら困るという心理的圧力が間接的に養育費の支払いを促すことになります。

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公正証書を作るためには。

 では、公正証書を作成するためにどのようなことが必要か確認してみましょう。

 公正証書の作成は当事者の一方のみで一方的に作成することはできません。一方は養育費を3万円払うと言い、一方は4万円払ってほしいというように双方の意見が合致していない状態では公正証書は作成できません。公正証書の作成には、双方の合意形成が必須です。どうしても双方の意見が合致しない場合は、もはや公正証書作成はできませんから調停や裁判等家庭裁判所での裁判上の手続きが必要となります。

 養育費については、毎月の養育費の額、毎月の支払日、いつまで支払うか、支払を怠れば強制執行を受けることを認める、最低限以上の項目についての合意は必要です。その他に、慰謝料や財産分与、面会交流等の取り決めもあれば一緒に記載することもできます。

 双方の合意ができたら、公証役場での手続きです。【全国の公証役場一覧

 公正証書の作成は双方の合意があることが前提ですので、公正証書作成手続きは当事者双方が揃って公証役場に出向いて行うのが原則です。しかし、公証役場は平日昼間しか開いていませんから仕事で双方が揃って出向くことができないとか、既に遠隔地に住んでいるので揃って出向くことができない、また、経験がないので自分達で手続きをするのが不安だというようなケースも多くあります。そのような場合は、当事務所にご依頼いただければ当方で手続きを代行いたします。この場合、当事者二人に公証役場に出向いていただく必要はありません。

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 当事者お二人揃って公証役場に出向くことができ、手続きをご自分達で行おうとお考えの場合は、まず、お近くの公証役場に相談に行く必要があるでしょう。おそらく、公正証書作成手続きは初めての経験でしょうから 、何をどのようにすればよいか全くわからないという状況だと思いますので公証役場での事前相談は必須です。公証役場の相談は、電話で予約をしてから出向きます。相談の段階では、当事者双方が揃って出向く必要はありませんので、どちらか一方のみでも大丈夫でう。相談の際には、公証人に事情を説明しなければなりません。口頭で大丈夫ですが、メモ程度のものでかまいませんので合意事項を箇条書きにした物などを持参したらわかりやすいでしょう。内容に問題がなければ、公証人から必要書類や手続きの流れ、費用等の説明がありますから指示に従い手続きを進めていくことになります。内容に問題があれば公証人から指摘を受けた点をもう一度当事者で協議修正する必要があります。公証人の指示通り必要書類等も準備が整ったら、改めて予約を取り、当事者双方が揃って公証役場に出向き手続きをすることになります。

【養育費支払い契約についてもう少し詳しい説明はこちら】

 

公証役場手数料

 公証人手数料は政府が定めた「公証人手数料令」という政令により定められています。
 なお、手数料には、消費税はかかりません。 契約や法律行為に係る証書作成の手数料は、原則として、その目的価額により定められています(手数料令9条)。

【基本手数料】

(目的の価額) (手数料)
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 11000円
500万円を超え1000万円以下 17000円
1000万円を超え3000万円以下 23000円
3000万円を超え5000万円以下 29000円
5000万円を超え1億円以下 43000円
1億円を超え3億円以下 4万3000円に5000万円までごとに1万3000円を加算
3億円を超え10億円以下 9万5000円に5000万円までごとに1万1000円を加算
10億円を超える場合 24万9000円に5000万円までごとに8000円を加算

 

【その他手数料】
 正本・謄本料として1ページ250円が必要です(経験から、通常の養育費等に関する公正証書の場合、正本・謄本料は4,000円程度でしょう。)

手数料計算例
 (子ども2歳、20歳まで毎月3万円の養育費支払いの場合)
   養育費の場合、支払期間が10年を超えるときは、10年間を手数料算定の基準となる目的の価格とします。
   よって、このケースでは、目的の価格は、3万円×12カ月×10年=360万円となります。
   360万円を上の表にあてはめると基本手数料は、11,000円ということになります。
   これに1ページあたり250円の正本謄本料を加えた額が公証役場手数料になります。
   正本謄本料が4,000円であれば、基本手数料11,000円+4,000円=15,000円が手数料となります。
   養育費に関する公正証書の場合、印紙税は必要ありません。